Makoto Kuriya
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DISCOGRAPHY
結成から4年、レコーディングをスタートしてから3年。
各地で愛されてきたラテンジャズ・ユニット「RHYTHMATRIX」のアルバムが遂に完成した!多忙なメンバーたちが、それぞれの隙間を見つけて集まり、少しずつ録音。定期的に欠かさなかったツアーでは次第にファンが増殖し、ライブを通じてメンバーと一緒に「RHYTHMATRIXサウンド」を創り上げた。
土岐麻子、Saigenji、青木カレン、Wilma de Oliveiraなど豪華ゲストを迎え、ジャンルでも国籍でもくくれないハイブリッドな楽曲を収録した、豪快かつユニークな作品。
01.TOMBO MISTURADA
02.BERIMBAU feat. SAIGENJI
03.イパネマの娘 feat. WILMA
04.DON SEGUNDO
05.素顔のままで feat. ayano
06.SAMBA DE GATO
07.CLOCKERS feat. 土岐麻子
08.DEAR TOMORROW feat. 青木カレン
09.RHYTHMATRIX INTERLUDE
10.SO MAR feat. WILMA
RHYTHMATRIX:クリヤ・マコト(pf)、コモブチキイチロウ(b)、安井源之新(perc)
ゲスト:Saigenji(vo)、土岐麻子(vo)、青木カレン(vo)、ayano(vo)、Wilma de Oliveira(vo)、天野清継(g)、小畑和彦(g)、柴田亮太郎(g)、安部慶子ストリングス、弦一徹ストリングス、ほか
ジャズライフ 8月号
クリヤ・マコトのリズマトリックスは、ラテンの香りいっぱいのおいしいフュージョン・ブランチである。そもそもボサ・ノヴァも、そんな風に長く愛されてきたが、クリヤ・マコトは、そのラテンの魅力をもう一度微分し積分して現代化してみせていると言ったらいいだろうか。ラテンには歌手、とりわけ女性歌手がつきものだが、当然このアルバムにも用意されている。というか何人も女性歌手をフィーチャーし、その様々な個性の彩りがこのアルバムの聴き所となっている。むろん、グループを構成するベース、パーカッションのしめる位置も重要で、タイトなサウンドながら、それぞれ個性的でどこかゆるい関係もラテン的で楽しい。(青木和富)
ラティーナ 8月号
ジャズ界の気鋭ピアニスト、クリヤ・マコトが新たに結成したトリオ、リズマトリックスでラテン・ジャズに挑戦。組んだのはベースのコモブチキイチロウ、パーカッション安井源之新。冒頭の「トンボ・ミストゥラーダ」からバトゥカーダが炸裂するなど、3人の自由で楽しそうな音楽の対話が楽しめる作品だ。カヴァー曲に関しては超がつくほど有名曲ばかりだが、どの曲も、主役である、ジェントルだけど饒舌なクリヤのピアノが気持ちよく歌いまくっていて、独創性がみなぎっている。コンピュータ・プログラミングも駆使した「ビリンバウ」はクリヤの得意なジャズ・ファンク仕立てで、トリオ+ゲストのSaigenjiを加えた4人ならではのスウィングを生み出していて、文句なしにノセられてしまう。ブラジル音楽もクリヤにこんなクリエイティヴに向き合われて、ブラジル音楽冥利に尽きるだろう。(駒形四郎)
CLUB JUICE 7月号
ジャズ界を牽引するクリヤ・マコトがリーダーを務める、RHYTHMATRIXによる1stフルアルバムが今夏いよいよ登場。クリヤによる流暢なピアノのメロディライン、ラテンベースの名手でもあり日本を代表するベーシストの一人であるコモブチ、パーカッションを始め様々な打楽器を駆使する安井の3人が奏でる、心躍るダンサブル・ナンバーから極上の癒しサウンドを収録。いてもたってもいられなくなるライブ・パフォーマンスにも要注目。
Liner notes by クリヤ・マコト
1.Tombo Misturada
RHYTHMATRIXの定番曲で、ライブでは必ずラストにプレイする。この曲もコモちゃんとは出会った当初から一緒にプレイしていて、その間にベリーニ「Samba de Janeiro」のメガヒットもあったりしてさすがにベタになり、一時は敬遠した時期もあった。かつてライブでコモちゃんとこの曲をプレイしていたとき、英国の歌手キャロル・トンプソンが遊びに来て一緒にコーラスをやってくれた。彼女はその時初めて聴いたそうだが、自分がこの時コーラスで歌ったラインが後にメガヒットしてぶったまげた、というエピソードを持つ(笑)。 これを録音するにあたり、やっぱベタかなあ?と随分悩んだ。だけどRHYTHMATRIXを象徴するようなナンバーだから、これがなきゃファンのみんなも納得しないだろうと考え入れることを決意。この曲がさらに進化を遂げたのは、その決意をした後だった。 安井源之新がバツカーダを編曲し、やがてぼくもじっとしてられなくなってタンボリンをたたき出し、遠慮がちにコーラスに参加していたオーディエンスは立ち上がって踊り出し、合図が見えないのでぼくは椅子の上に上り・・・・、といった展開はファンの方が一部始終をご存知のところ。ブラジルの薫り高いこの曲からスタートです。
2.Berimbau feat. Saigenji
セルジオ・メンデス「ブラジル66」の演奏で知られるスタンダードナンバー。ぼくがこのアレンジを作ったのはかなり前なんだけど、いわゆるブラジルのリズムとは違うアレンジにしちゃったんでなかなかビートがまとまらず、何度もライブを重ねて造り上げた。台湾公演までには完成し、ボーカルをお願いしたSaigenjiが見事にはまる!その後クラブチッタのクリスマス・ライブでは北原雅彦、元晴、島裕介という超豪華なブラスセクションと共演し、さらにレコーディングではストリングスも入れてしまった。強いアレンジに真っ向から挑んだ、Saigenjiのパワフルなボーカルが秀逸。
3.イパネマの娘 feat.Wilma
アントニオ・カルロス・ジョビムの名曲。アルバム「Latin Touch」に収録したバージョンが個人的にすごく気に入っていて、今回一部を直してリメイクした。ボーカルにはブラジル人のWilmaを起用。自分の作ったトラックにネイティブの歌が乗ったときは、もうめちゃめちゃ感動!前半ではポップなビートに乗せたナチュラルなボーカルをフィーチャーし、後半では小畑和彦とRhythmatrixの白熱する掛け合いを展開している。
4.Don Segundo
これもアルバム「Latin Touch」で発表した曲だが、今回は全て生演奏によって再録音。この曲はRHYTHMATRIXのライブでは定番曲の一つであり、これまで様々なゲストを迎えてプレイしてきた。ゲスト次第でいろんな表情を見せる曲で、中でもギターの人と一緒にやったスペイン風のバージョンがすごく印象に残っていた。そこで今回フラメンコ・ギタリスト柴田亮太郎にお願いし、ギターだけでなく「パルマ」も入れてもらってどっぷりスパニッシュ・バージョンに。RHYTHMATRIXの3名に加え、もう一人の血がハイブリッドした、アルバム中でも異色のナンバー。
5.素顔のままで feat. ayano
録音直後のデモをいろんな人に聴いてもらった途端、「このボーカルは誰だ?」と話題になった作品。ビリー・ジョエルの名曲を、ブラジリアンなテイストでハーモナイズした。かなりスローで、ボーカリストにとっては難しい曲だと思う。当初インストの予定で作っていたが、あるときayanoに出会ってしまい(笑)、急遽ボーカル用にキーを変えて作り直した。しかもそれが、既にリリースが決まって締め切りが間近に迫っていたときだった。この過程かなりドタバタだったんだけど、まだ世に出ていないシンガーを青田買いさせてもらい、しかもこんな名曲中の名曲を歌ってもらって嬉しい。お祭騒ぎの曲ばかりの中、ホッとひと息つけるヒーリング・ナンバー。
6.Samba de Gato
NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん(土日バージョン)」の、スポーツコーナー挿入曲として作曲したナンバー。放送直後からRHYTHMATRIXのライブでもプレイしてきた。ギターの天野清継とドラムの松山修は、当初のNHKバージョンで既に録音。今回ベース、パーカッションを重ね、根本的にリミックスした。ライブでは「スポーツ・サンバ」の通り名で演っていたが、アルバム収録に際し「猫のサンバ」と命名した。
7.Clockers feat. 土岐麻子
以前3年間くらい、日産HPコンテンツ「MURANO SESSION」の音楽を担当していた。その中で土岐麻子をフィーチャーし、2007年に発表したのがこの曲。今回アルバム収録に際し、半分以上のトラックを再録音した。ベースは元々コモブチだったが、そこへ源之新にパーカッションを重ねてもらい、ぼくもキーボードをがんがん重ねてRHYTHMATRIXバージョンに。ファンキーなビートに乗せたキッチュな歌声は、普段の土岐麻子とまたひと味違った魅力を引き出せたように思う。
8.Dear Tomorrow feat. 青木カレン
ぼくのオリジナルで、ライブではRHYTHMATRIXのコアメンバー3人だけでプレイしてきたナンバー。ブラジル音楽とジャズハーモニーのセンスをミックスし、次々とコードが変化していく中ゆったりした源之新のパーカッション、コモブチのベースに癒される。今回レーベルメイトになった青木カレンにコーラスを依頼したんだけど、歌声が入るだけでこんなにも魅力的になるのか!と唸った。この曲の魅力を倍増してくれた、カレンちゃんの透明感溢れる歌声に感謝。
9.Rhythmatrix interlude
血湧き肉躍るRhythmatrixサウンドを象徴する定番曲から、リフとソロチェンジを引用したインタールード。ジャズ、クラブなどをハイブリッドし、ユニークなコンテンポラリー・サウンドを目指すRHYTHMATRIXのコンセプトを凝縮。録音後、早速ライブでもプレイしている。
10.So Mar feat. Wilma
コモブチキイチロウ作曲の名曲。ぼくを始め、各地、各ライブで本当に多くの人々に愛されてきたナンバー。これまで15年も一緒にプレイしてきたけど、当初は仮タイトル「コモサンバ」と呼ばれ、RHYTHMATRIXになってからは「Vento de Alicios(貿易風)」と名付けられ、今回ブラジル語の歌詞ができて「So Mar(海)」と改名した。長い歴史を持つこの曲を、遂に録音できたのはまさに感無量だ。全ての人が、明日は今日よりも少し元気になって欲しいという願いを込めて作ったこのアルバムは、この曲で幕を降ろす。心地よく、幸福な後味を満喫してほしい。そしてライブでは、是非ぼくらと一緒に歌ってください。
(クリヤ・マコト)