Makoto Kuriya
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DISCOGRAPHY
3年連続の欧州公演、初のオーストラリア公演の成功を経て、益々国際的評価の高まるクリヤ・マコト。原点へ戻り、自らの芸術性を突き詰めるきっかけになったパリ・ユネスコホール公演から2年、その成果がさらに輝きを増してここに結実した。
日本では珍しいガット・ベースを操る名手「早川哲也」と、日本随一のジャズビートの達人「大坂昌彦」を迎えた「クリヤ・マコト・トリオ」は、クリヤの音楽を共有する理想的な仲間であり、クリヤのアート性を体現するための理想的なユニットである。
しかし、音楽を生み出すのは必ずしもミュージシャンだけではない。それを受け止める人々、人々が形成する社会、人々が生きる時代、これらすべてを飲み込み、消化したクリヤ・マコト等身大の音楽が、本作「My music is Your music」なのだ。
1. DOLPHINE DANCE (Herbie Hancock)
2. PENINSULA (Makoto Kuriya)
3. SUMMER KNOWS (Michel Legrand)
4. LOVE FOR SALE (Cole Porter)
5. NEVER LET ME GO (Livingston/Evans)
6. NIGHT IN TUNISIA (Gillespie/Paparelli)
7. THE VOYAGER (Makoto Kuriya)
8. ILLUMINATION (Makoto Kuriya)
9. 大きな古時計 (Henry Work)
Rクリヤ・マコト (piano)、早川哲也 (bass)、大坂昌彦 (drums)
ジャズライフ 126月号
「クリヤのメロディ・センスが光る強力メンバーによるピアノ・トリオ作品」
5月にソロ・ピアノ・アルバム「パリス・トゥ・ザ・ムーン」をリリースしたばかりのクリヤ・マコトの新作はピアノ・トリオ作品。ハービーの名曲①の優しい出だし、この柔らかなメロディにはこのテンポとこの音色しかないという絶妙のサウンドでアルバムは幕を開ける。オリジナルとスタンダードを交え、チュニジアで盛り上がった後に訪れるクリヤ・オリジナルの美しいバラッド⑦こそが本作のハイライトだろう。本作はクリヤのスリリングなアドリブだけでなく、どの曲でも旋律に正面から対峙しその魅力を最大限に引き出すクリヤのメロティ・センスに溢れている。選曲、曲順、演奏すべてに完成度の高い作品だ。(星野利彦)
CDジャーナル 12月号
痛快なピアノ・トリオ作。技量的にも申し分のないクリヤのピアノの音は光が当てられた水晶のような輝きを放っている。曲の“歌”を膨らませていくアドリブ展開に高い音楽性を感じさせながら、くっきりとした音像で浮かび上がってくるサウンドは彼の美学の賜物だ。(敏)
アドリブ 12月号
「十数年ぶりのピアノ・トリオで今日的アコースティック・ジャズを展開」
クリヤ・マコトは怪物だ。米国を呼吸するだけでは満足せず、伝統とリリシズムを欧州から学び、ジャズ新大陸オーストラリアの大自然の力を貪欲に取り込みながら自身の音楽をどこまでも拡張・深化させる。地球市民のパスポートを取得した今、もう一度、軸足を日本に置くことで、何が出来るのか、何が言えるのか。そんな問いかけが、十数年ぶりになるピアノ・トリオのモチベーションになったのかもしれない。日豪混成チームを支えた早川と大坂という俊英のリズム隊を擁し、今日的なアコースティック・ジャズを展開。立体的な空間の広がり、リッチな色彩感、弾力性に富むダイナミズムは、温まっているトリオならでは。それにしてもピアノが驚くほどまろやかで柔らかい。⑨で小さな花を慈しむようにメロディにアプローチするクリヤに、前述の成熟の証が感じられる。(工藤由美)
スイングジャーナル 12月号
「音楽に対する理解の深さを聴きとってほしい」
クリヤ・マコトの音楽を聴いていると、いつも「明晰」という言葉を思い浮かべる。ピアノの音やタッチが明るくて正確である、ということはもちろんなのだが、常に音楽全体の見通しが良く、曖昧な気分でごまかしている部分がないように感じられるのだ。ピアノ・トリオでよく知られたスタンダードを主に演奏しているこのアルバムも、クリヤの明晰さが全体を支配しているように僕は思える。すべての音が最も適切なところに、最も適切な音色で現れ、どのトラックの演奏も、一分の隙も破綻もないまま完結してゆく。それはまるで、磨き上げられた窓ガラス越しに、秋の快晴の空を眺めているような感じだ。(中略)いっけん熱量が少ない演奏に思えるかもしれないが、シャープでクールな外見の奥にある「音楽」に対する理解の深さを聴きとってほしい。(村井康司)