Makoto Kuriya
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DISCOGRAPHY
在米時代、当時新世代のホープとして注目されていたゲイリー・トーマス、スティーブ・ウィルソンなど、ライブ仲間たちとレコーディングしたクリヤ・マコトの日本デビュー作品。
「日本人にもこんなアーティストがいるのか!」と、日本のジャズ・シーンに旋風を巻き起こした。これによって、クリヤ はコンテンポラリー・ピアニストとして独自の地位を確立。その作曲手法などが、同時代のアーティストにも多大な影響を及ぼした作品。
01. A Colored Fluctuation
02. Sala Uno
03. Horizon Of West Virginia
04.Siamese Floating Castle
05. You Don't Know What Love Is
06. Triclinium Suite
07. Everything Happens To Me
クリヤ・マコト(pf) デイブ・ペロー(b) ビリー・ドラモンド(ds) スティーブ・ウィルソン(sax) ゲイリー・トーマス(sax) アレックス・ノリス(tp)
ジャズライフ 11月号
(前略)なんといってもゲイリー・ト-マスの名前に目がいってしまうのだけれど、内容を聴いてもその通り。文句なくアグレッシヴな音を聴かせてくれている。それに、ニューヨークの彼とはちょっと違うな~と感じるのはなぜだろう。ハード・パップな曲調もあるんだろうけれど、ドライヴ感を重視したアドリブの展開で、運指に頼った色づけを避けたように仕上げているところがイイ。もともと彼はどちらかといえば無骨ボルチモア派閥の心意気が横溢な感じのゴリゴリ・テナーのスタイルを持ちながらコンテンポラリーなスケールをミックスさせようとして、独特の「コクのある」サウンドを生み出しているヒトだと思っていたんだけれど、ここでは作品のまとまりを気にするような気負いのようなものよりプレイに比重がおかれているせいか、アダルトをワイルドが圧倒していて、リスニング・ポイントがはっきりしているぶん、気持ちよく聴くことができるんじゃないかな。注目したいのが、もうふたり。ピアノとベースだ。クリヤ・マコトは粒立ちのさわやかさを伝えることのできる、パワフルで繊細なサウンド・クリエーター。そして、デイヴ・ペロウのアコ・べ。ソロをとって背筋をふるわせてくれるプレイヤーがひとり増えたことをうれしく思う。〈富渾英一〉
CDジャーナル 10月号
日野皓正の今年の国内ツアーに抜擢され、¨驚異のピアニスト現われる¨と話題を呼んだ若手ピアニスト厨誠のデビュー・アルバム「ザ・ボルチモア・シンジケート』(KICJ-72¥3,000)が10月2旧にキングがら発売される。彼はこれまでずっとアメリカで活動していて、チコ・フリーマン、アーサー・プライス、ゲイリー・トーマスなどのグループで活躍し、90年に帰国。帰国後は様々なセッションで活動してきた。今回発売されるアルバムは彼が89年にアメリカで自主制作したもので、ゲイリー・トーマス(ts)、スティーヴ・ウィルソン(as)、アレックズノリス(tp)、ビリー・ドラモンド(ds)、デイヴ・ベロー(b)という若手ミュージシャンたちとともに、彼のオリジナルや「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ」「エヴリシング・ハップンズ・トウ・ミー」などといったスタンダードもプレイしている。まさに期待の新鋭の登場だ。
FM fan 12月号
卒業後米国に渡り√ウェスト・バージニア大学時代から演奏活動を開始、東海岸で多くのギグを行っできた。そしてOTBのスティーブ・ウィルソンやビリー・ドラモンドなど、米国時代の仲間と録音したデビュー作がこれである。(5)(7)以外の彼のオリジナルだが、どの曲も一筋縄ではいかない凝った曲ばかりだ。しかしメンバーたちは、むしろそれを面白がっている様子だ。ソロでやはりというべきかゲイリ-・トーマスのプレイが際立っており、ラストのスタンダード(7)ではスティーブが美しいアルト・ソロをきかせる。リーダーの端々しいピアノをはじめ、伸び盛りのミュ-ジシャンたちによる演奏は溌刺としていて非常に好ましい。(市川)
スイングジャーナル 11月号
複雑かつ明晰な音楽をストレートに表現しうる才人登場!! 私事のことながらこのアルバムの主人公である厨(くりや)誠に最初に出会ったのは、何と通訳者としてであった。ぼくの曖昧な言葉を見事に英語にし、相手の言葉も実に明解な日本語におきかえるその能力にびっくりしたものだった。それは彼が長期アメリカにいたということ以上に、その理知的な頭脳によるものだろう。その後彼から送られてきた自身の履歴を読み、彼が最新のむずかしい言語学を修めていることを知り、なるほどと思ったのだ。この第1作を聴き、まず感じたのはそうした素晴らしい理知的な厨誠の姿である。音楽活動の拠点であったボルチモア周辺のミュージシャンを集めて作った本作は、確かにこの地域のヤング・ノぐワーを紹介するという意味もあるが、しかし、このジャズの聴きどころはそうした厨誠のユニークな音楽性にある。5曲のオリジナルに2曲のスタンダード。それらについては音楽家自身のいたれりつくせりの解説が付されているが、これら複雑で明晰な音楽はすこぶる魅力的というしかない。厨のピアノもそのように明解で鋭いパワーにあふれているが,その厨の音楽性に触発されて、ゲイリーらも当然のようにその能力が100%引き出されたように思う。理知的といったが、この音楽が素晴らしいのは、複雑な各要点が有機的にむすびつき、さらに音楽の最終的な本質を決して見のがさない確かな視点があることだ。とにかく意外な才人の登場だ。(青木和富) ジャズ界に一石を投じる作品 アメリカで活躍し、現在は日野皓正バンドのメンバーとしても活躍しているピアニストの厨(くりや)誠が1989年に、ボルチモアを中心に活動していたミュージシャンたちを集めて、彼の音楽成果をまとめる意味で作ったという作品。メンバーは6人だが、非常に優秀で,粒ぞろいである。7曲のうち5曲までが厨のオリジナルで、2曲はスタンダード。各曲ともに作曲や曲の扱いに多くの細かい工夫が施されている。 90年代のジャズの先端を行っていると言えるかも知れない。しかし下手をすると、このような、特にリズム上での試みは、曲を通して聴いた場合、本に竹を接いだようにもなりかねない。むずかしいところだ。(1)ではベースとピアノが休み、ゲイリー・トーマスとビリー・ドラモンドのデュオになる部分があるが、この部分は緊追認があり、面白い。(2)や(3)ではソプラノ・サックスのスティーブ・ウイルソンが良いプレイをしている。(4)は最も力の入った曲である。厨、ノリス、ウイルソン、トーマスの順にそれぞれ充実したアドリブを聴かせる。(4)(6)(7)でアドリブをとっているトランペットのアレックス・ノリスはこのレコーディングの時に20歳だったそうだが、いちばんパップ風の奏法とフレーズを示しているのは興味ぶかい。(5)は厨のリハーモナイズとゲイリーのフレージングによって現代的なものに再生産されている。ジャズ界に一石を投じる作品ではある。(藤井英一)