Makoto Kuriya
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DISCOGRAPHY
アニメーション・テーマを日本のスタンダードミュージックと見なしたヒット作「Antitheses」シリーズの第二弾。ゲストを加え、サウンドにもこだわった自信作。
クリヤ自身もサウンドトラックに参加している「新世紀エヴァンゲリオン」からは、テーマ曲である「残酷な天使のテーゼ」をカバー。「銀河鉄道999」のテーマでは、原曲メロディーの魅力を生かしつつも、ジャジーで迫力あるゴスペルサウンドを展開して注目を集めた。
01.Eclipse (prologue)
02.今日もどこかでデビルマン
03.ルパン三世 その2
04.The Galaxy Express 999
05.Twincle (monologue)
06.残酷な天使のテーゼ
07.Tank!
08.コブラ
09.Cat's eye
10.ポプラ通りの家
11.奇跡の海
12.Satellite (epilogue)
クリヤ・マコト(p) 納 浩一(b) 大坂昌彦(ds) 岸田容男(ds) 落合徹也(vl) アンディ・ウルフ(sax) ニール・スタネカー(tp)
日経新聞 5/26夕刊「今週のいち押し」
ジャズ・ピアノ奏者クリヤ・マコトによる趣向を凝らした一枚だ。 ジャズを基本に、ソウルやクラブ系のアレンジも交えて現代的なサウンドを聴かせる。 和音やリズムは変わっているが、「ルパン3三世」、「デビルマン」などを見た世代 ならば、そこに聴き覚えのあるメロディーを見つけ出せるはずだ。本作はアニメ音楽 をジャズ・アレンジで再構築したアルバムなのだ。取り上げたアニメは「新世紀エヴ ァンゲリオン」、「キャッツアイ」など比較的新しい作品も多く、アニメを通じて若 い世代にジャズを聴いてもらいたいとの熱意が伝わってくる。クリヤは「日本人にと ってのスタンダード」を追求するうちにアニメに行き着いたという。ちょっと皮肉な 話だ。(俊)
読売新聞 6/24夕刊 「DISK情報」
多彩な活動を続けるジャズ・ピアニストが、日本のTVアニメ主 題歌を題材にした第2弾。「デビルマン」、「ルパン三世」などおなじみの番組テー マが、時に刺激的なまでの編曲で見事、ジャズに生まれ変わり、新鮮な発見が続く。
産経新聞 6/21夕刊「これ聴き隊:新譜CD紹介」(抜粋)
「銀河鉄道999」などアニメ主題歌のジャズ化作品集という 体裁はなんだかいよいよマニアックな雰囲気ですが、これが8ビートをうまく使っ て実にクールで、若いピアノ音楽ファンにはお薦めです。米国でジャズを学んだク リヤは非常にクリアで粒立ちのよいタッチの持ち主。つまりとてもきれいな音色で ピアノを奏でる人です。そんな彼が普通の音楽ファンも親しみやすいビートにのっ て、本格的な美しいピアノを聴かせるのですから、これはもうくぎづけにされるこ と請け合いです。クリヤのもう一つの特徴として作編曲にたけていることが挙げら れますが、このアルバムでは既存のアニメ主題歌を調理する腕前も楽しめます。ゴ スペル調の「銀河鉄道999」は感動を誘う名演、名編曲です。本来米国のジャズ メンは既存のポップスをレパートリーにして実に極上のジャズに仕立てることにた けていました。日本でスタンダードナンバーと呼ばれる曲はそうしたものを指しま す。ところが、日本人が現代のポップスをジャズ化するとどうにも安手のBGMに 陥りがちでした。クリヤは前述の特性でこのあたりを楽々とクリア。ただ、アニメ とジャズという組み合わせは、マニアックで入りづらい店の雰囲気。いかにもアニ メっぽいジャケット体裁もその他大勢の音楽ファンを誘うという意味では惜しいの ですが、シリアスなジャズの追求と平行してぜひこの音楽路線も進めてほしいものです。
スイングジャーナル 6月号
才人,クリヤマコトが,アニメのテーマ曲を見事なジャズへと昇華 した「アンチテーゼ」。その第2陣が,1年も経ずに早くも登場した。前作はジャズ・ファン よりもはるかに多い,アニメ・ファンに向けた,会社側のマーケティング重視の企画であ ったが,それを逆手にとって彼は,アニメ・ジャズとでも呼べる新しい表現を提示,アニメ ・ファンを中心に,セールス的にもかなりな数字を記録したらしい。そしてファンからは, 次作のリクエストも数多く寄せられたという。それが今回の選曲のメインになっている ようだ。ところでクリヤは,ジャズだけでなく,CM,クラブ・ミュージック,スタジオ,プロ デュース等,まさにマルチに活躍する,頭脳明噺な知性派で,ピアノも抜群に巧い。いささ か目から鼻に抜ける才人と言った感もあるが,ジャズの恩師,ネイサン・デイピスを自費 で招き,コンサートを開催するといった,義にも厚い,熱血の人でもある。アニメにも関わ る彼は,"日本人にとってのスタンダードの一つは,アニメ・ソング"という信念を 持っており,それだけにこの企画,決してお仕着せではなく,自身も十分に楽しみつつプ レイしている。そこが爽快である。今回は前作のトリオに加え,曲によりホーンやパイオ リンも参加,サウンドに一層の拡がりが感じられる。ネオ・ハード・バップからアシッドま で,鋭利だが温かい,今の時代のジャズがここにはある。(小西啓一)
ジャズライフ 6月号
ホットからクールまで、幅広い音楽性が堪能できる高品質なサウン ド昨年夏に続く、アニメ・ソング集の第2弾。アニメのテーマ・ソングを素材にしている から、便宜上「アニメ・ソング集」なんて言ってしまうけど、そこからイメージされる大衆 性、安直さとはまるで無縁な、創造性に溢れた作品になっている。オリジナル曲をほとん ど知らない私にとっても、有能なクリエイタ一=クリヤ・マコトのハイ・クオリティなサ ウンドは充分に魅力的だ。テーマを離れてぐんぐん加速していくインプロヴィゼーショ ンは、実にスカッとしていて気持ちいい。ドラムもべースも型にはまらず、自由に飛ぴ跳 ねているのが楽しそうだ。前作同様、4ビート系は大坂昌彦、8&16ビートのクラプ系は 岸田容男と、ふたりのドラマーを使い分け、納浩一とのトリオが中心。それに、今回はサッ クス、トランペット、ヴァイオリンを曲によってプラスしている。2管クィンテットによる ファンキーな「デビルマン」、のびやかなヴァイオリンをフィーチャーした「奇跡の海」な ど、ヴァリエーションが広がった。クリヤ・マコトとアニメーションとの接点のひとつに 「新世紀エヴァンゲリオン」があり、彼がピアノを弾いたエンディング・テーマは大ヒッ トしたわけだが、この作品でも、叙情的なピアノ・ソロ⑤⑫は秀逸。ホットからクールま で、幅広い音楽性が瑚能できる好アルバムだ。(たちばな薫)
電撃Animation Magazine 7月号
ジャズ・ピアニストのクリヤ・マコトによるアニメ・テーマを取 り上げたジャズ・セッション企画の第2弾。今回も「ルパン三世」、「新世紀エヴァ ンゲリオン」、「カウボーイビバップ」などのおなじみの曲が取り上げられているが、 前回よりアレンジと演奏に余裕が感じられ、より洗練されてクオリティは高い。何よ りリズム隊が気持ちよくスウィングして、曲の新たな解釈にも、ジャズが本来持って いる奔放さや自由な発想が随所に見受けられてノレル。