Makoto Kuriya
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DISCOGRAPHY
クリヤ・マコト-シルヴェスター・オストロウスキー・クインテット
海外での活動を10年あまり展開してきたクリヤ・マコト。10回を越えるヨーロッパツアーのほか、モロッコ、エジプト、台湾、オーストラリアなどのツアーも大好評を博し、BBCラジオ、ハンガリー国営放送でライブ放映されるなど注目を集めています。
その文化交流の成果の一つがこのユニット。ポーランド、アメリカ、日本の3地域からのアーティストが結集、また白人、黒人、東洋人による3人種が集った希有なユニットでもあります国際交流・相互理解という点で注目すべき試みですが、このユニットがユニークなのはそのサウンド。3ヶ国・3人種混合のふれ込みが単なるシンボルに終わるのではなく、そのサウンドの中にしっかりと織り込まれ個性を放っています。
典型的なハードバップ・スタイルを採用していることが、このユニットの個性を際立たせています。ジャズの魅力をそのままに、オーセンティックな米国的リズム空間、自由への渇望とそれを得た喜びを表現する東欧のフロント、和の要素とサブカル的デフォルメが共存するピアノ。グローバル時代を象徴する希有なジャズ・サウンドを実現しました。
1. Tokyo (S. Ostrowski & P. Wojtasik)
2. Open Jazz (Makoto Kuriya)
3. Always (Makoto Kuriya)
4. Cherrys (S. Ostrowski & P. Wojtasik)
5. Essiet (S. Ostrowski & P. Wojtasik)
6. Watermelon Man (Herbie Hancock)
7. Polish (S. Ostrowski & P. Wojtasik)
8. Soulmate (S. Ostrowski & P. Wojtasik)
9. Summertime (George Gershwin)
クリヤ・マコト (pf)、シルヴェスター・オストロウスキー(sax)、ピョートル・ヴォイタシク(tp)、エシェット・オコン・エシェット(b)、ニューマン・T・ベイカー(ds)
アメリカ ジャズは言うまでもなくアメリカで生まれ、奴隷を祖先に持つアフリカ系の人々がその魂を維持し、今日までの発展を担ってきた。音楽の基礎たるリズムセクションに二人の米国人アーティストを迎え、重厚で骨太な音色と圧倒的なスウィング感によるオーセンティックなジャズ世界を形作っている。特にドラムのベイカーはジャズ全盛期を公民権運動の荒波と共に生きてきたベテラン世代。だがその年齢からは想像を絶するパワフルな音楽世界を生み出す。
ポーランド 近年ようやく注目を集め始めたポーランド・ジャズ。日本ではまだ馴染みが薄いが東欧ジャズのメッカである。冷戦時代、ソ連はジャズを禁じていた。しかし自由を求める運動が常にくすぶってきたポーランドでは、人知れずジャズが発展し自由を象徴する音楽として多くの支持を得るようになった。冷戦が終わるとそのエネルギーが爆発。民主化後、1つしかなかったジャズフェスが80に増え、10校ほどある国立音楽学校のほとんどにジャズ科ができ、文字通り東ヨーロッパを代表するジャズ大国となった。サックス+トランペットのフロントのサウンドは、まさにその重い歴史を眼前に指し示すかのごとき説得力を持つ。
日本 がむしゃらの労働によって敗戦から立ち直り、経済大国の地位を獲得した日本。長年自然との共存の中に己の存在を見出してきたスピリチュアルな側面を持つ一方、システマチックに社会を構築してきた高度な技術文明社会の側面を併せ持つ。クリヤのピアノは歌舞伎の音楽や「見え」を思わせる独特のメリハリを持ち、プレイヤーとして、またリーダーとして「和」の隠し味を付加している。
クリヤ・マコト:ピアノ
ウェストバージニア大学にて言語学を専攻。その傍ら、ライブ活動を開始する。卒業後はピッツバーグ大学にてジャズ講師を務め、同時に米東海岸各地でジャズピアニストとして活躍。グラミー賞受賞者チャック・マンジョーネのグループに参加するほか、多くのジャズの巨匠と共演を重ねた。帰国後は自らのユニットで活動を行い、現在までに15枚のリーダー作をリリース。また既に10回を越えたヨーロッパツアーや、オーストラリアツアー、モロッコ公演、台湾公演、エジプト公演がいずれも大好評を得るなど常にワールドワイドな活動を展開。ソウルフルなプレイと鋭いナイフのような切れ味が特徴で、歌舞伎を思わせるメリハリの利いた個性的なプレイが高い評価を受けている。作曲家、音楽プロデューサーとしても活躍中で、多くのジャズ作品のほか平井堅、八代亜紀、マリーン、土岐麻子などのポップス作品、TV番組テーマ曲や映画音楽など幅広く手がけている。
シルヴェスター・オストロフスキー:サックス
ベルリンに近い街、シュチェチン出身のアーティスト。2002年に、ポーランドの著名なジャズ・コンペティション「Siedlce 2002」にて優勝。その後地元を代表するアーティストとして活躍し、2010年にはシュチェチン・アカデミー・オフ・アート」を設立。これまでに「When the groove is low(2011年)」、「Don't explain(2013年)」の2枚のリーダー作を発表。2011年には文化功労者としてポーランド文化庁から表彰され、2012年にはシチェチン市から地元出身のアーティストとして表彰された。またポーランド国内のジャズ・アーティスト団体「Orkiestra Jazzowa」(ポーランド・ジャズ・オーケストラ会)の会長として、10年以上ポーランド・ジャズ振興および海外アーティストとの交流に勤めている。
ピョートル・ヴォイタシク:トランペット
ポーランドを代表するジャズ・トランペット奏者として、全ヨーロッパで高い評価を得るアーティスト。ポーランド国内テレビ局主催のFryderyk賞、通称「ジャズ・オスカー」の常連であり、ポーランド人アーティスト部門、ベスト・アルバム・オブ・イヤー部門などで幾度も受賞している。またポーランドの主要ジャズ・ジャーナルである「ジャズ・フォーラム誌」による年間トップ・ジャズメン賞も複数回受賞。これまでに7枚のリーダー作をリリースするほか、欧米各国のアーティスト作品100枚以上に参加。米国アーティストとの活動も多く、これまでにケニー・ギャレット、ゲイリー・バーツ、デイブ・リーブマン、ビクター・ルイス、ビリー・ハーパー、レジー・ワークマンなどと共演してアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、モロッコなど世界中で公演を行っている。
エシェット・オコン・エシェット:ベース
アメリカのネブラスカ州オマハ出身。10歳でバイオリン、14歳でベースを始める。ボビー・ワトソンとの共演で一躍世に知られ、長年ニューヨークを代表するベーシストの一人として活躍してきた。アート・ブレイキー・ジャズ・メッセンジャーズには、アート本人が亡くなるまで在籍していた。またブルーノート・オールスターズにも在籍し、来日公演にも参加している。ジャズ界を代表する数多くのアーティストたちから信頼を得ており、これまでにベニー・ゴルソン、ジョニー・グリフィン、フレディ・ハバード、シダー・ウォルトン、ケニー・バレル、アート・ファーマー、アビー・リンカーンなど、並み居る巨匠たちのレコーディング、ツアーに参加している。
ニューマン・T・ベイカー:ドラム
アメリカのバージニア州、ピーターズバーグ出身。父方の曾祖父は、解放奴隷出身のアフロ・アメリカンとして初めて博士号を取得したT・ネルソン・ベイカー(1906年イェール大学)。3歳でドラムを始める。高校時代はクラシック、作曲などを学んだが、バージニア州立大学では教育学で修士課程修了。同時に管弦楽団でティンパニ奏者として活動を開始。ビリー・ハーパー、サム・リバーズ、ルー・ドナルドソンのユニットに長年在籍し、多くのレコーディングやツアー、公演を行う。現在は世界中で黒人音楽、クラシック音楽の比較を切り口にクリニックを展開している。クリニックやライブでは、黒人奴隷が楽器を持てなかった時代を象徴する「ウォッシュボード(洗濯板)」のパフォーマンスも行う。本作「JUST MUSIC」も1曲ウォッシュボードを演奏している。