DISCOGRAPHY

Self works
Album

Mercy, Mercy, Mercy
 

在米時代の恩師ネイサン・デイヴィスと、アメリカ・ジャズ史の一翼を担ってきた巨匠カーティス・フラーを迎え、彼らに対するリスペクトを高らかに歌い上げたファンキー・ジャズ・アルバム。1998年秋の来日ツアーを記念して録音された作品。
クリヤはこのツアーを通して、ジャズの遺産への感謝と、ミュージシャンからミュージシャンへと引き継がれていく伝承の中に、ジャズの神髄を見いだしたと語る。その思いが温かみとともに、古き良きサウンドを生み出している。

tracklist
01.Five Spot After Dark
02.Song For My Father
03.Mercy, Mercy, Mercy
04.The Cape Verdean Blues
05.I Thought About You
06.Work Song
07.Song For My Teacher
08.Love Your Magic Spell Is Everywhere
09.Mama Time
10.Oh! Blues

musicians
クリヤ・マコト(pf) カーティス・フラー(tb) ネイサン・デイヴィス(sax) サンティ・デブリアーノ(b) ウィナード・ハーパー(ds)

ジャズライフ 2月号
アニメ音楽を素材にした前作から一転、クリヤの新作はキャノンボール・アダレイやホレス・シルヴァーの往年のヒット曲をずらりそろえた「ファンキー路線」 だ。50、60年代モダン・ジャズの名曲を並べたことといい、拍子抜けするほ どのオーソドックスなスタイルといい、なんの先入観も無しに、これをクリヤのアルバムと言い当てることのできる人が何人いるだろうか?2管クインテットと いうフォーマットも、安心して聴ける音使いも・・・・。いや、もしかしたら、そんな古めかしいまでの「当たり前」を正面切ってやってしまう意外性こそが、この作品の「仕掛け」なのだろうか。この人の懐の深さ、守備範囲の広さ、一筋縄ではいかない音楽性に、ただ頭を垂れて聴き入るのみ。(阿部好宏)

CD ジャーナル 2/2号
最近クリヤ・マコトの活躍ぶりが目を引く。"エヴァンゲリオン"で話題を集め たかと思えば本邦初のアニメ・スタンダード「アンチテーゼ」で意表を突き、サックス奏者伊東"T.K."たけしの新作ではプロデューサーを務め、恩師ネイサン・デイビスを招いた昨年のツアーも評判を呼んだ。その時の来日メンバーでスタジオ録音したのが本作。タイトルからもおわかりのようにキャノンボール・アダレイやホレス・シルバーをはじめとする50年代、60年代のファンキー・ジャズの名曲を中心に取り上げた。クリヤから見れば大先輩にあたる恩師デイビスとカーティス・フラーの2管を擁したクインテット、オーソドックスな手法を用いながら、軽快に弾むメンバー間の"会話"が新鮮味を引き出す。主賓を 立てながら、要所でさらりと決めるピアノの知的なフレージングが、サイド・マンとしてのクリヤの力量を改めて印象づける。香り高きジャズをポップ感覚で楽しませてくれるクリヤマジック再来。(工藤由美)

スイングジャーナル 2月号
クリヤ・マコトという人は、ジャズだけでなく、様々なフィールドで活躍する、軽快なフットワークと鋭敏なセンスを誇る才人だが、最近はプロデューサーとしても才覚を発揮している。そんな彼が昨年の秋、アメリカ在留時代の師ともいえるデイビスとその仲間を迎え、1週間ほどのライブ・ツアーを敢行、ジャズにかける熱い思いを見せてくれた。彼らのコンサートは、トロンボーンのフラー以外余り目立ったスターもいないせいか、ぼくが行った日も聴衆も少ない寂しいものではあったが、かなりの実力派揃いなだけに充実した楽しい内容だった。そのツアー終了時に吹き込んだのが本作で、タイトル・チューンの(3)を始め、(2)(6)(7)といったファンキー・ナンバーが並べられる。その他フラーに敬意を表し、彼のオハコとも言える(1)(8)といったおなじみの曲もありと、演目もほとんどツアー同様のものとなっており、全体としては、ハッピーな世紀末ニュー・ファンキー・セ ッションといった趣で、コンサート同様に出来は悪くない。まとめ役のクリヤはオーソドックスなプレイに徹しており、(3)などでのグルービーさも楽しい。特筆すべきは、師のネイザン。日本では知る人ぞ・・・といった存在だが、本場での 評価はかなり高いものがあり、ここでもその実力をフルに稼働させ、懐の深いプレイ(4が白眉)を聴かせる。ただ肝心のフラーが、全体の足を引っ張っているのが残念な所。(小西啓一)

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