DISCOGRAPHY

Compilation
Album

Tokyo Twilight Zone

かつてクリヤがヒップホップともジャズともオチャラケともつかぬ実験的作品を出すと、多くの保守的なジャズファンは顔をしかめた。しかしクリヤの暴挙はそれに止まらなかった。
クリヤのシリアス・ジャズ作品が玄人受けするのに対し、小唄、演歌などをダンスビートに乗せた本作は、多くの評論家たちに戸惑いを感じさせたようだ。コンピュータを駆使した打ち込み作品。Mad Kitchen名義。

tracklist
01.Hongkong Type B
02.Kawakaze
03.Tokyo B-Girl
04.Back On The Road
05.Forever In Love
06.Brother For Real
07.Frozen Nights
08.Get On Down
09.Twilight....e.t.c.

musicians
クリヤ・マコト(pf) Tea-Tee(vo/rap) 勇希波つ帆(Kouta-Vocal) 下町兄弟(rap) Calvin Edwards(narr) Yumi-chan(Enka-Vocal)ほか

ジャズライフ 2月号
キーボード奏者、作・編曲家として活躍するクリヤ・マコト主宰するプロジェクト集団マッド・キッチンによる新作。テーマはヒップホップと日本ということで、 R&B的コーラスやラップばかりが流れると思いきや、小唄や都はるみらしき演歌の世界の声までがサンプリングされて摩訶不思議な世界が作り出されている。意外にそのことが違和感を作りだしていないところがクリヤのクリヤたる所以なのか。いや、おもしろいサウンド処理音だと思う。(内藤遊人)

スイングジャーナル 4月号
アレンジャー、ピアニストとしても確かなウデを持つクリヤが主宰するレーベル 「ToTheMax」からの注目すべき作品。"遊び"や"ユーモア"の要素を重視し、世界に浸透した「今」のリズムとサウンドを駆使しながら、日本語のラップ、ず ばり小唄そのものなどを取り上げ、コラージュというより、非常に重層的な音の風景を展開している。つまり、我々が何かを見るとき、見ようとするそのもの以外にもさまざまなものが自動的に同時に見えてしまっている・・・・・というシチュエーションを、音の組み合わせによって作り上げている感じ。その意味では 風景として組み込まれた素材の多様さがなかなかの魅力。それに、一見とてもシンプルなラップのバックなど、クリヤ自身のキーボード操作が見事な音楽的隠し味として機能しているのが見逃せないところ。肉声以外はすべてクリヤ自身による電子楽器、コンピュータによって構成されているのに、全体がとても温かく心地よいし、なによりもチャチっぽい肌ざわりが皆無なのは、そんなクリヤの音楽性の高さによるものといえるだろう。日本にもやっと音遊びの本格派が登場したことに拍手を送りたいが、ここまでやるのなら、音遊びの「形」だけではなく、クロス・カルチャーを風景として実感できる表現レベルを目指してほしい。

FMステーション 2/5号
サイバーミュージシャンといった容姿のジャズ・ピアニスト、クリヤ・マコトが挑んだ和製ヒップホップ。テーマは日本。小唄や演歌などをヒップホップにコピー&ペーストしたコラージュ音楽だ。小唄の師匠、勇希波つ帆も参加する力の入りよう。近未来風の文化混合ぶりがおもしろい。

アドリブ 2月号
新しいほうにも目配せもできるジャズ・ピアニストであるクリヤの諧謔プロジェクト。かつてぼくはマイルス電気路線のDJ付き咀嚼表現なんかを聴いて、うまくやってんじゃないと思ったことがあったりして、そんなに聴いたことはないも のの彼に対しては悪くないイメージを持っている。(最近では本誌ですごく推していた納浩一のアルバムにも入っている)。で、これは彼なりのヒップホップ表現と言っていいのかな。打ち込みビートにジャズやソウル要素がばらまかれているなか、曲によっては長唄みたいな日本のトラディッショナルな音楽語彙も同列 に敷かれているのがポイントだ。そんなにヘンじゃない。よくやってる。肉体性とかそういう部分のことを考えるとまた別の意見も出てくるかもしれないが、ふっと聴いているぶんにはそれなりに面白く触発もされる。(佐藤英輔)

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